バレンタイン2008

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「早かったね。」 隣に座っていた芳さんを見た。 「まぁな。まさか、泰田の女といるとは…連絡した時はびっくりしたぜ。」 「エヘヘ…今日知典さんは、ご機嫌だね。」 芳さんは、右手を伸ばして、そっと私の頬に充てた。 私は、その手に自分の手を充てた。 「俺は、未だ機嫌は良くねぇぞ。」 「…甘い物は嫌いでしょ?」 「本命には、貰いたいものだ。」 芳さんは、親指を動かし頬を撫でた。 「フフ…くすぐったいよ。 ゴメン、ケーキしか無いよ。」 目を細めて、柔らかな瞳を向けてきた。 胸が高鳴る。 「なら、チョコは、お前な。」 「…最悪、最低。」 プイッと顔を窓を開けた。 熱くなった頬を、風が撫でた。 1ヶ月後 朝起きたら、左手の薬指に銀色の指輪が輝いていた。
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