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「早かったね。」
隣に座っていた芳さんを見た。
「まぁな。まさか、泰田の女といるとは…連絡した時はびっくりしたぜ。」
「エヘヘ…今日知典さんは、ご機嫌だね。」
芳さんは、右手を伸ばして、そっと私の頬に充てた。
私は、その手に自分の手を充てた。
「俺は、未だ機嫌は良くねぇぞ。」
「…甘い物は嫌いでしょ?」
「本命には、貰いたいものだ。」
芳さんは、親指を動かし頬を撫でた。
「フフ…くすぐったいよ。
ゴメン、ケーキしか無いよ。」
目を細めて、柔らかな瞳を向けてきた。
胸が高鳴る。
「なら、チョコは、お前な。」
「…最悪、最低。」
プイッと顔を窓を開けた。
熱くなった頬を、風が撫でた。
1ヶ月後
朝起きたら、左手の薬指に銀色の指輪が輝いていた。
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