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「貴様が吉城鋼か?」
翠のアパートを出てすぐ男が話しかけてきた。鋼のボディーガードはすぐさま鋼の前に立ったが鋼は腕で彼等を退けた。
「そちらは佳月陵かな?」
「少し話がしたいから着いて来てくれ。」
「……あぁ、分かった。」
俺は近くにいたボディーガードに手をあげ来なくても良いと合図した。
着いた場所はさびれた公園だった。
「ここならお互い色んな意味で大丈夫だろ?」
ここならカタギの人にも迷惑は無いと言う意味か。
「何か勘違いしてねぇか?」
「勘違い?」
「この場所を選んだのはやりあう気はねぇと言う意味だ。まぁ、カタギを巻込まないと言う意味と俺らは目立つしな。…話す内容は分かってると思うが。」
「翠の事か?翠の事なら諦めたさ。ここに彼女が来てからずっと好きだったが翠はお前に心をあげていたからこっちを見ようともしなかった。これでも頑張ったんがな……そんな一人の男しか見れねぇ女誰がいるかよ!分かったら帰れ。」
鋼は陵に話す隙間すら与えず早口で話して終わったら陵に背を向けた。陵に話をされると虚しくなる。
後ろでは陵が去って行くのが分かった。
翠を抱きしめた時、あぁ、駄目なんだなと嫌と言うほど伝わってきた。でも…
「本当に愛してたんだ。」
溢れた言葉は風になって消えた。
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