捧げる歌

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俺の知る世界…… その中で一番高い場所。 其処に俺が居て、 手を伸ばす。 視界いっぱいに青い蒼い空と 白いしろいシロイ雲。 忘れていた何かを思い起こさせる 雄大さ。 あの頃俺は何を想っただろう。 今……俺は何を想う? 確かにあったはず、 なりたいものとか。 でも、とっくの昔に見失ったさ、 そんなもの。 だから、なくては何か、 求めて願うものが。 手を伸ばす、 さっきよりも遥かに高く……。 掴めるだろうか、あの空が。   きっと―――     「――何やってんだ、俺」 空を虚しく引っ掻いた。 「……来たか」 屋上の重たい扉がぎぎー、と軋みながら開いた。 「えっ……!?」 透き通るような白い肌に白いワンピースの少女が驚いた表情で俺を見る。それに笑顔で返す。 「初めまして、幽霊さん?」 少女は楽しそうに、 「そういう貴方はゴーストバスターさん、なのかな?」 「さぁな、どちらかというと……君に近いかもしれない」
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