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採用と告げられた翌日、護衛兵に銃を突きつけられながら、集められた少年少女は全部で6人。
ドンと前に座っているドクターが、三時間にも渡ってこれから先の事を説明する。
まず先に基礎訓練から行い、体力など足りないものを補って行くと言った。
チームを編成するには今現在の6人だけでは不足なのだそうで、これからもメンバーが増えるだろうとも言っていた。
この時のメンバーは森、北斗、晴、蛍、輝と雪継。隼人やリル、咲と千は後から遅れて入隊したメンバーだ。
訓練は、その能力に合わせて何組かに分けれて行われた。
初めの約3ヶ月は、主に体術や攻防戦術を中心に、その後は任務の合間に訓練を続ける。
他の5人は、すぐに打ち解け仲良くなったが、雪継だけはいつまで経ってもその中に入ろうとはしなかった。否、入ろうとしなかったのでは無く、入れなかったのだ。
何故なら、今まで一度もそのような環境にいた事は無かったし、信用出来る者など一人もいなかった。友人など作る必要も無かったから、その術も勿論、必要の無いものだったからだ。
だが、ここには騙す者も、盗みを犯す者もいない。殺される心配も無ければ、追われる心配も無い。体を売って金を得る必要も無いのだ。
この先の安心と引き換えに、彼の生活はこれまでのものと一変し、経験した事も無かった新しい環境に、雪継はかなり戸惑っていた。
だが、その戸惑いすらも上手く表現する事が雪継にはどんなに頑張っても出来ない。
次々と仲良くなる他のメンバーを横目に、彼は焦り、オロオロし、イラついて、結局はどうする事も出来ず、ただただ、自分の印象を悪くする事に終始するのだ。
そして、その内心は雰囲気として皆に伝わって行き、雪継は次第に、誰からも声を掛けられず、自らも失敗を恐れるあまり、声を掛ける事も出来ずに、一人孤立して行くのであった。
そんなある日、訓練の休憩中だった。
輪を作り、楽しそうな連中を横目に眺めながら、その日も木陰で休んでいた雪継の元に、一人の少年が近寄って声を掛ける。
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