名前―name―

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「その格好じゃ外出れないでしょ?あげる」 「えっ…でも、いいの?」 「うん。だって俺、持ってても着れないもん」 …それはそうだ。 そういうのが趣味だと思われちゃうよね。 あれ? だけど、そういう趣味じゃないならどうして女性用の服をこんなに持っているんだろう。 …彼女の、とか? でも、未使用品だし… よく見ると全て『HEAVEN』というブランドのものだった。 『HEAVEN』はギャルからお姉系まで、いろいろな雑誌で取り上げられている人気ブランド。 オシャレ好きで知らない人はいないだろう。 「あ、りがと…」 頭の中は疑問だらけ。 あたしがベッドの上に洋服を広げると、男はその中から一枚のワンピースを手に取った。 「あんたさ、こーゆうの似合いそうだよね」 それは、淡いピンクやグリーンの混ざりあった、Vネックのざっくりニットワンピだった。
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