名前―name―

10/13
3315人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
「って、アナタは何がしたいわけ??」 「今すぐに必要最低限の荷物をまとめて欲しいわけ」 ……ん? 意味がわかりません。 土足で他人の家に上がり込んで、更には住人が入れないように部屋に鍵を掛けたりして。 泪は眉をひそめ、首を傾げた。 「制服とか、携帯とかさ…早くしないと扉こじ開けられるよ?」 ドンドンと扉を叩く音と共に、叔母の怒鳴り声が聞こえる。 「ほら、早く」 焦りを感じた泪は男に言われるがまま、大きなバッグに荷物を詰め込んだ。 お金、制服、教科書… 元々少ない私物。 まとめるのに、そう時間は掛からなかった。 「それで全部??」 「う、うん…だけ…」 『だけど一体どうするの?』なんて疑問は一切受け付けず、男は部屋の扉を開く。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!