名前―name―

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「ねぇ…なんで?」 2人のやりとりを、ただ呆然と眺めていた泪。 家から出た今も、この展開に頭が追い付いていかない。 どうして傷に気付いたの? どうして助けてくれたの? どうして… 居場所を与えてくれるの? 聞きたい事が多すぎて。 「…帰りたくなかったんでしょ?」 「そう、だけど…」 「じゃあ乗って」 どうやらまともに答える気はないらしい。 泪はこの質問を諦めてバイクに乗ると、最後に一番聞きたかった事を尋ねた。 「アナタの名前は?」 未だに知らない男の名前。 泪を拾い、居場所を与えてくれた不思議な人。 名前も知らないなんて、悲しいから。 「…遥斗。如月遥斗(キサラギハルト)」 前を向いたまま答えると、男… 遥斗はバイクを走らせた。
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