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時刻は午前0時過ぎ。
真っ暗な闇の中を、あたしはただただ走っていた。
行く宛なんてない。
立ち止まることも出来ない。
だって、戻る場所なんてないから。
真冬だというのに身に着けた衣服はパジャマのみ、地面を蹴る足は裸足。
でも、そんな事を気にしてる余裕すらもなくて。
「必死」
今の状況を表すのに、ピッタリな言葉だと思う。
そんな状態のまま、もう、どのくらい走ったのだろう。
気が付くと、街灯に照らされた公園に辿り着いていた。
綺麗な芝生が一面に広がり、その真ん中には小さな丘のようなものがある。
海に沿って車道もあり、かなり広いようだ。
きっと、こんな時間でなければ家族で賑わうんだろうな。
「はぁ…も、限界……」
その海沿いの道にふらふらと座り込むと、あたしは乱れた呼吸を整えた。
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