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泪が家を飛び出した理由。
伯母を含め、あの家の住人の事。
それどころか、遥斗は泪の名前、年齢すら進んで聞こうとはしなかった。
「…聞いてほしいの?」
「…」
聞いて、ほしいのかな。
自分でもよく分からない。
だけど、事情も何も聞かずにここにいさせてくれる遥斗が、正直理解出来なかった。
何の見返りも求めずに。
「誰にだって、知られたくないことはある」
顔を後ろに向けると、天井をぼんやりと眺める遥斗が映る。
その姿が暗闇に消えてしまいそうに、儚く見えるのは気のせいだろうか…
「だから、泪が話したいと思ったら話せばいいよ」
「…うん」
どうしてだろう。
意味深に聞こえる言葉。
遥斗にもあるのかな?
人に知られたくない事が。
辛い過去、とか…
そんな事を考えながら、泪は重たくなった瞼をゆっくりと閉じた。
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