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「先生…この論文が最後の一つです」 黒髪の少年は部屋に入って来る 名前はアサギ・カイト 彼が両手に持っている論文と呼ばれた大量の文字がところ狭しと綴られた 彼の三分の一をしめる程大量にある紙を 側にある机に置いた 「あぁ、ご苦労様 今回も課題を多く出したにも関わらず 物凄く早い仕上がりだね」 にこやかに笑う先生と呼ばれた人物は アヲイシ・ザクロ 此処は彼の研究所である 量に問題はなさそうだな と紙の塔を満足気に見る 「はい、早く評価して頂きたいものですから」 「楽しみに読ませて貰うよ」 あ、そうだ と何かを思いついたかのようにアサギに話し出す 「研究材料に問題はないかな?」 「はい。全て収集し終わりました」 さらりと言ってのける彼の発言にザクロは少し吃驚した様子で話を続ける 「200種類程無かったかな?」 「はい、213種類です」 確か課題を出したのは4日前だ けれどいつものように他の生徒より何十倍も早く論文も 実技も、作品提出も終わらせてしまうアサギ この研究所に入ってから全くペースを落とさず 課題をやってのける そして今はそんな有能な彼に期待をかけざるを得ない状況 彼なら、私の研究の材料を間違い無く取り揃えて来れるだろうと
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