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僕らはきっと夢の中にいて、朝起きたらいつも通り笑顔なんだ
「もういらない」
これは悪い夢だ
あいつがこんな言葉を吐く訳ないじゃないか
「だから早く出てってよ!!」
強引に体を押され、部屋の外に出される
‘バタン’と勢いよくドアが締められ呆然とする俺
「…っなんだコレ…」
ポタ、ポタ…と涙が零れていく
こんな感情を俺は知らない
「…とまれよ」
格好悪いだろ
こんなことで泣くなんて馬鹿みたいだよ
そう幾ら思っても涙は止まることを知らない
むしろどんどん溢れてきてしまう
もうどうすることも出来ない
―――――――…。
どれくらいがたったのだろうか
時計も携帯も持っていない俺は、時間を知る術はなかった
きっと一時間もたっていないであろう
だけど今の俺にはたった5分さえも長く感じていた
こんな所にいたって彼女が俺のもとに戻って来てくれる訳がない。って分かっていた
だけど、彼女にフラれた…という事実を認めたくない自分がそこにいることも分かっていた
『…ごめんね』って俺のもとにかけて来て、涙を拭いてくれる…そんな君は来ないって分かっていた
…ねぇ、小さい時のように泣いてる俺の涙拭いて笑ってよ
その笑顔があったから俺は強くなれたのに…
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