幸せ

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僕のこと、忘れていいからね。 別れ際、貴方は悲しそうに微笑むとそう呟いた。あぁ、なんて私は残酷な言葉を貴方に投げ掛けてしまったの。あんなことを言わなければ貴方は悲しそな笑顔をむけることはなく、きっと今でも純粋に笑ってくれているのに。後悔した時には遅かった。貴方は私の手を離し、いつの間にかそばを離れていた。戻りたくても戻らない穴はだんだんと深まるだけだろう。怖くて、怖くて不安に押し潰されそうになりそっと胸に手を当てる。 目を瞑れば、いつでも貴方の優しい笑顔がそこにあった。どれだけ私は貴方の為に何かをできたのだろう。どれだけ貴方を手助けできたのだろう。最後の最後まで貴方に迷惑をかけてしまった。私は貴方に何度も助けられてきたのに…。 ごめん、ごめんね…。 今までありがとう。今度は私なんかの為じゃなくて、貴方の為に、自分自身を幸せにして下さい。私は貴方といられただけで幸せでした。
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