157人が本棚に入れています
本棚に追加
ある日の事、智也は仕事に行き幸はいつも通りそれを見送り家事をこなしていた。
そんな幸の元に電話が来た。
それは元仕事場の友人からだった。内容は今日夕方からみんなで食事するんだけど行かないか?と言うもの、幸は久しぶりにみんなと話したいなと思いOKの返事をした。
智也にはメールでその旨と遅くならないようにするとだけ伝えて幸は出かけた。
待ち合わせ場所に着くと懐かしい顔が並んでいて幸は嬉しくなる、懐かしさで盛り上がりもピークになろう頃、幸の視界に見覚えある人が映る。
智也だ。
「幸…帰ろう」
『智也なんで…ιちょっと待って…なら挨拶していかないと』
「いいから…」
智也はグイッと幸の腕を掴み車に乗せた。
『智也なんで来たの?!みんなに挨拶もなしに帰るなんて非常識だよ!!』
幸は酒の力もあり、勢いで智也に責め立てた。
しかし智也は謝るどころか時々幸を睨みつけあの時のようにブツブツと呟きながら運転していた。
幸も今回は酔いもあってか強気にただ助手席で外を見つめていた。
家に着くやいなや智也は再び腕を掴み幸を部屋に引っ張って行く。
『痛い!!離して!!』
「離してだと…お前はいつからそんな偉くなったんだ!!!俺に隠れて男に愛想振りまきやがって!!!!いい御身分だなぁおい」
智也の口からは以前の言葉なんか比べものにならないような台詞が出た。
幸は明らかに侮辱されている事に腹を立て言い返そうとした。
その時
―バキッ―
智也は近くにあった椅子の足を折って幸に近づく。
「次、妙な真似したら今度はお前の足折るぞ」
幸は一瞬で酔いが覚め同時に恐怖がこみ上げた。
『…ごめん…なさぃ…』
今の幸にはこれしか言えなかった。
自分の愛した智也はどこ…?
なんでこんな事に…
幸はそのまま朝を迎えた。
部屋から起きてきた智也は申し訳なさそうに幸を抱き締めた。
「ごめんな…お前の足折るなんてできっこないよ…本当にごめん…お前だけが好きなんだ…」
『……』
この時幸は智也を可哀想に感じてしまう。
この人には私が必要なんだ…
私しかいない…
『ずっと…一緒よ』
最初のコメントを投稿しよう!