―請願―

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老師たちは一言も発することなく静かに聞いていたが、話が進むにつれて眉間に皺がよっていく 「それは、あなたらしくない失態ですな」 右側に座していた老師が思わずといったように呟く 無理もない。封魔師としての階級は「特級」。数々の難しい任務をこなし、生きた伝説にまでなっている彼女の実力は伊達ではない ちなみに蒼月(ソウゲツ)は「一流」。響と行動を共にしていれば必然とそうなる 今回、与えられた鳥獣退治の難易度は「中」 間違っても二人に回ってくるような仕事ではない 任せられる人材が皆出払っていたのと、急を要する依頼であったため、二人に白羽の矢がたった 彼らなら安心と、老師たちは信じて疑わなかった なのに、なぜ? 何を考えているのか… 老師たちは響が失敗したとは思っていない。そう考えるには、あまりにも不自然すぎる 不測の事態がおこり、あえて見逃したと考えるほうがしっくりくる
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