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普通なら高校生でそんな事を許す親はいない。
だが光夜の両親は少し変わっていて、夏休みという事もあるのかそれを許してしまう
光夜は部屋に戻ると必要な物をまとめる事にした
整理しているといろいろ懐かしい物が出てくる
小さい頃無くしていたと思っていたオモチャや卒業アルバムといったものだ
後一週間の命とされている彼にはとても生きてきた証にのようにも思えたみたいだ
しばらく卒業アルバムを眺めているとリリィが手伝いに部屋へ入ってきた
「どう?進んでる?……ってなに見てるの?」
リリィは不思議そうに卒業アルバムを覗くと目を輝かせた
「あぁ…卒業アルバム…小学生ん時の」
「か~わい~♪どれが光夜?」
「ん?コレ…」
「か~わ~い~い♪」
リリィは両手で頬に触れ体をクネらせ喜んだ
よく見るとどの写真も光夜はみんなから離れた位置に写っていた
集合写真、何気無い風景、行事のワンシーンに至る全て
本人は気にしていないし、リリィが気付かないので
その事には触れずにいた
ページを捲るとクラス写真のページに行き着いた
そこでもリリィは体をくねらせていた
すると光夜はある事に気づいた。
「あれ…コレ…リリィじゃないか?」
「え…?」
見てみると光夜とは別のクラスのページだったが写っていたのは確に今のリリィに似た姿の少女
つまり藤村 梨理の幼少姿だった
「藤村梨理よコレは……光夜…いい加減今は人間の姿だって事覚えなさいよ…」
少し呆れた様にため息を付くと光夜を見る
光夜はそういえば~…と頭を掻いていた
「あれ…でも……先輩…なんだよな…藤村梨理って…」
「えぇ……そういえばおかしいわね…」
ここにひとつの謎が生まれてしまった
二人はしばらく考えるとアルバムを閉じ、この結論に至った
「無かった事にしよう。」
「…………そうね。」
丁度いいタイミングで配達屋がきた
自分で持てる物は自分で持っていき、重い物は持っていってもらう事に
とは言っても荷物のほとんどを任せるのだが
手続きを終わらせ光夜達は実家を後にした
暑い中元気なリリィはこう切り出した
「ねぇ、デートしない?」
「デート?アリグはどうするんだ?」
「そこ、名前を縮めるな。」
「アリグには荷物を待ってもらうの♪」
「そこ、勝手に決めるな!」
「あぁ…それなら…」
「いいのかよ!」
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