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「…あ…今何時だ?」
慌てたように話題を変えようと振り替える。
リリィは腕時計に目を向け、すぐに向きなおす。
「七時…十三分…だけど?」
「────な!…もうそんな時間なのか!?」
「なにかあったっけ?」
゙ぽけ~゙と首を傾げる少女。
端からみたらかわいいのだろうけど、ある特定の人物から言わせれば薄情者なんだろう。
「アリグルム…待たせっぱなしだ…。」
「あ───。」
彼女も思い出したらしい。
というか、今の今まで忘れられてるアリグルムも凄い、別に陰が薄い訳じゃないのに。
突然、背後に背筋が凍るような気配を感じた。
「ほぅ……私は君らにとってその程度の存在だったんだね?」
ニヤリと妖笑する白いコートのそれは、蒼く綺麗な瞳で二人を交互に見る。
完璧怒ってる。
目元に陰が出来てるよ、怖いって。
「あはは…来たんだアリアリ」
「私はジッパーのスタンドかぁああ!?」
「なんでJ◯J◯!?」
「そんな事より…来たのだろう?例の双子…」
「あら?知ってたの」
「当たり前だ…」
アリグルムは深くため息を付いて、呑気なリリィを見る。
いや、気持ちは解るけど。
「どっちにしろ…無事でなによりだ…」
「そりゃどーも、なんなら礼にドックフードくれてやろうか?」
「私は白狼だ、犬じゃない。」
再度ため息を付く。
いや、気持ちは解るけど…本当に。
「まぁいい…荷物は整理しておいたからな」
「あぁ、助かる」
「さぁ、帰りましょうか。」
リリィがいきなり切り出す。
そしてさっさと歩きだした。
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