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その日は急な雨が降ってきていた。
後で聞けば、今年一番の大雨でまともに歩けなぃほどの雨。
私は橋の下で雨宿りをしていた。
地面を打つ雨音が上
から聞こえてくる。
服に着いた雨を振り払っていたその時、人の気配を感じた。
振り返ると、人が肩で息をしながら立っていた。
体はびしょ濡れ。
体型から見るなり、男
もしかして…変質者?
嫌っ!
私が急いで逃げようと足を速めると、そいつは私よりも先に追いかけてきた。
私はすぐに腕を掴まれる。
「いやぁー!!離してっ!!!」
振りほどこうと抵抗して、後ろを向いた私は抵抗をやめた。
男の子は私と同じ年
くらいの高校生で、
男の子には不似合いなスーツがびしょ濡れ。
今にも倒れてしまぃそうなフインキだった。
「……む…から。」
男の子が口を開いた。雨の音で少し聞こえづらぃ……
「えっ…?」
私が近づくと、男の子は私に抱きついた。
「頼むから……俺から離れていかなぃでくれ…。」
震えるような声が耳元ではっきり聞こえた。
思えばこれが雨の日にあなたがつく嘘の始まりだったのかな?
これがあなたとの出会いだったね……
恋の始まり……――
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