灯野 恵

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『こんにちは、お昼のニュースをお伝えします。 まず始めに、天気をお伝えします。 今日のお昼から、雨足が強くなり、金曜日まで雨が激しく降ります。河川の氾濫、洪水には気を付けましょう。』 『この雨は台風5号、6号の影響で長雨になり、明日に入ると暴風域に入るので、ベランダ等にあるプランターや鉢など、飛ぶ物は室内に入れましょう。………』 『次に…………』ブツン … … … おい、ちょっと聴いてくれ。 社長が皆を呼んだ。『これから、臨時休業する事にした。だから、今から皆帰ってええぞ。台風が過ぎ去ったら仕事はじめるぞ。この休み有給だからな』 … … … … 社員一同……… 『えぇっ』…………… 社長、 『ええと、恵(けい)君はちょっと社長室まで来るように。』 恵 『あぁ、はい。』 … … … … … … コンコン 『社長失礼します』『ああ。』 バタン。 … … … … … 『ええと、君の名字はなんだだか忘れてねぇ……………ははは』 『あぁ、はい。名字は灯野です。』 『漢字は日(にち)の日に、野原の野かい?』 『いえ、違いますひは、灯油の方のひです。』 『そうか、そうか。ど忘れしてしまってね、ははは。ありがとうな。これで社員の皆の名前、覚えたよ。 どうだい、我が社になれたかい? なれればいいんだ よし、要は済んだ。つまらない事で呼んですまなかったな。気を付けて帰ってくれよ。』 『はい、失礼します』 ギィ。 バタン。 … … 俺はこの会社に入社して3カ月。 だいぶなれてきた。… … てくてく。 … … 同僚、 『おつかれ。じゃぁまた来週』 恵、 『おつかれさまでした』 … … … … … … … … … 俺は会社を出た。外はすでに雨が降っていた。 最寄りのJR駅からガラガラの通勤電車にのり家の近くの駅まで行った。 駅から自宅まで徒歩30分。駅を出た時、雨は強く、傘を激しく叩き付けていた。 … … … … … … 家までもう少しの所まで来た。 すると路肩に、少女が座り込んでいた。こんな土砂降りの中………… この場所には他の大人達がすたすた歩いている。少女の目の前を。 なぜだろう。 見えないふりをしているのか またはみえないのか。……… … … … … … … … … … … 。
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