灯野 恵

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「こんな所にいたら、風邪をひくよ。」 恵はしゃがみ、彼女に傘をかけてあげた。 「お母さんかお父さんかいないの?」 「家は近所なのかい?」 色々彼女に聞いても、首を横に振るだけだった。 (困ったなぁ…… このままじゃぁ風邪ひくし…) そう色々考えているうちに、彼女がボソッと 「お父さんもお母さんもお家もわからない……」と。 恵は (さらに困ったなぁ……)と思った。 「君の名前はなにかな?」 「暁(あき)」 「暁ちゃんだね。 名字は?」 「わからない…」 (これだけじゃぁ家族を探せない……) (困った……) 恵は腕時計を見た。 もう、19時を過ぎていた。 雨も激しくなっていた。
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