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何がいけなかったの？
私は唯、ｱﾅﾀに見て貰いたかっただけなのに。
昨夜から降り続いた雨は今朝から更に強さを増した。風情など微塵も感じられぬ篠突く雨。
視界が悪い。降り頻る雨は世界を白くぼかしている。
加えて最近切っていない前髪が額に張り付いて、なおのｺﾄ気持ちが悪い。
こんなﾄｷは長く伸ばした前髪が煩わしく思う。
ｱﾅﾀが大好きなあの娘の髪型を真似てみたけれど、どうにも上手くいかなかった。
ｱﾅﾀは私を見てくれなかった。
ぎゅっと胸元の十字架を握り締める。
冷酷無比な白銀からは、もうｱﾅﾀの温もりは感じられない。
何が間違っていたの？
あの娘と何が違っているの？
遥かから甲高い金属音の軋り。
規則的に鳴り響く電子音。
少しだけ世界が赤に濡れる。
髪を掻き上げた。濡れた制服と肌が擦れて、どうしようもなく嫌な気分になる。
髪を掻き上げたﾄｷに見えた包帯だらけの手首を目にして更に嫌気がさした。
どうして、私を見てくれないの？
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