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海斗が目を覚ますと、白い天井が見えた。
体を起こそうとすると、全身に痛みが走る。
「イテェッ!」
あまりの痛さに声をあげる海斗。
その声に、海斗の手を握りながら眠っていた母が、目を覚ました。
「海斗!!アァ…ッ、良かった…、良かった…アアァ…!!」
号泣する母。
「母さん、心配かけてゴメン。そんなに泣かないで…。」
母の手の手を握りながら言う海斗。
「それよりも母さん、…涼と将は??」
「…二人とも生きてるわ!!」
涙を拭いながら、笑顔で答える母。
安心したように海斗も笑顔になる。
「でも…。助かったのは…、あなた達三人だけよ…。」
母の言っている事が解らなかった。
「は?!俺達三人だけって…。冗談キツイし。乗客あんなに居ただろ?!」
「冗談なんかじゃ…ないわ。あなた達か見付かったとき、ずっと手を離さずにいたそうよ。」
母は続ける。
「それに、助かっただけでも奇跡なのに、あなた達は軽い火傷と、骨折で済んだのよ。あなた達の友情の絆はすごいのね…!!」
母の目からはまた、涙が流れた。
三ヶ月後――。
海斗達は、普通の生活を取り戻していた。
そして…
三人の中で一番モテなかった将にも、初の彼女が出来ていた。
「俺だけかよッ!!彼女俺も欲し~い!!」
海斗は空に向かって叫ぶ。
「まぁまず好きな女子を見付けないとなっ!!」
将が海斗に嫌味ったらしく言う。
涼はそんな二人に構わず、彼女とイチャイチャ…。
そして…。
あの事故から一年――。
三人は、飛行機が墜落した場所へ来ていた。
海へ
あの時同じ畿内にいた、乗客、客室乗務員、パイロットの成仏を祈り
海へ花を流す。
――僕達はこれから先、何があろうと生きて行かなければならない…。
なくなった方達のためにも。一生懸命、命つきるまで生きるんだ…。
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