陽光の少女

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  今朝の登校中に、見かけた女の子の話をしようとしたのだが、… なんだか…話したく無くなった。     次の休み時間が来ても 「隣のクラスの男子が、傘をささずにずぶ濡れで登校してたの。信じられないよねー」 と、言ってしまうのだった。 もちろん、彼女たちは笑いとばして、その話題は終わった。     下校時間になっても、雨は止まなかった。   彼女たちとは部活が違うので、下校は一人だ。   私は彼女たちに「またね ばいばい」と言うと、玄関へ突っ走った。     「…あれ?」     玄関で思わず声に出てしまった。     (…傘が無い…)     盗まれたのだろうか。 傘が無くなっていた。   何処にでもあるようなビニール傘で、名前は――わざわざ書くと小学生みたいだから――書かなかったから、盗まれても仕方がないのだろうが…     ……困った…     雨は今朝よりまして、滝のように降り注いでいた。   雨が嫌いだとか、もうそんな問題どころか、今自宅を目指せば、制服もびしょ濡れになってしまうだろう。 まだ火曜日… 学校は明日もある。  
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