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しかし、帰らないと…
買い物もしないといけないし…
(…傘も…買わなきゃ…)
全く、誰が盗んだのか…
もしかしたら、今朝走って行った男子かもしれないな。
(…コンビニまでなら、走ってもあまり濡れないかな…)
私は、そう思うと、単身で触れたくなかった世界に身を突っ込ませた。
…灰色の空の下、雨の中へ。
ざぁぁぁあああぁあああ
…嫌な音。
…冷たい。
…痛い。
(…?)
視界が、あの空き地を捕えた。
また、あの娘だ。
まだこんな雨の中立っているのか。
そして空を幸せそうに見上げているが、今度は彼女の隣に黒い傘が置かれていた。
誰かが彼女のために置いて行ったのかな…。
しかし、そんなものは見えないもののように、その娘はなおも雨の中に立ち続ける。
あまりにも、おかしい…。
そう思えたので、私は彼女の方へ行ってみた。
何の根拠も無いが、話しかける勇気さえあった。
「…あのー…?」
「?」
「…!!」
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