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「こっちも大変だったわよ。イヤミの魔導師が機嫌悪くてやりづらいったら…」
「へ?シェゾが機嫌悪いのなんていつもの事じゃない?」
お風呂で一日の疲れを流して明日に備えて早めに布団に入る。
ルルーは寝る時は三つ編みにしている。旅の時はいつもそうだとか。
「それはアナタが……て、言ってもわかんないわよね。アイツもハッキリしないけどアナタもよ。見ているこっちがイライラするわ」
ちくり。
「な…んのこと?」
ドクン、とアルルの心臓が騒ぐ。
「とぼけないの。好きなんでしょ?ラグナスのこと。そしてアイツ――シェゾのことも」
「ッ!!」
「分かるわよ私には。例え隠しても」
し……ん、と静まり返る。
外の風の音や草木の揺れる音がヤケに耳に聞こえた。
ダッ!!
背中にルルーの静止の声が掛かるのも聞かず、部屋を飛び出した。
殺風景な部屋に残された人影は伸ばした手を躊躇いがちに引き寄せて口の中だけで呟く。
「アルル………」
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