十四歳...

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   夏休みが終わった、最初の火曜日。いつものように、誰とも視線を合わせず、聡志は、一目散にテスト結果が貼り出された掲示板に向かった。そして、一番上に自分の名前を見つけると、人知れず安堵の溜め息を漏らす。無表情に教室に入り、どちらかと言えば、憮然とした様子で、いつもの指定席に腰掛けた。  最初にトップの成績を叩き出した事が、聡志を苦しめていた。その後、トップの座を守り続けてはいたが、両親から褒められることはなかった。 「アンタみたいなのは、その内追い抜かされるから」  両親に言わせれば、激励だった。甘い顔をすると、すぐにつけあがり、油断をする性格だと、いつもいつも、いつも言われていた。聡志にとっては、決して報われない、無限地獄に足を踏み入れたようなもの。  ただでさえ、カス扱いなんに……  誰かに抜かれでもすれば、一体どれほど詰られ、蔑まれるのだろう。 「クソが……」  聡志は、自分でも気付かない内に、ぼそりと、自分自身の間抜けさを毒づいた。  その時、隣の席の、初めて見る女子と目が合った。彼女は、何かを言い出す寸前で口をつぐみ、ぷいとそっぽを向いてしまう。  誰? この小っちぇ女……  トイレに行くついでに、聡志はもう一度、掲示板の前に足を止めた。  1.広瀬 聡志  2.ヤマシタ ミユキ  …………………  新入りだな……と、小っちぇ女の名前を確認した。テストの時に塾生でなかった者は、名前をカタカナで表示される。  十七点……  聡志の顔が少し曇った。誰からも、二十点差以内に近付かれたことはなかった。  
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