十四歳...

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   月に一度行われる、席替えのためのテスト。聡志は、受ける度に恐々とし、結果が出る度に安堵した。  この田舎町から、同じ中学校に通う者は居ない。聡志が塾で口を開くのは、講師に求められた時だけだった。  田舎町の同級生にとって、私立中学に通う聡志は、ある種の特権階級であり、羨望や軽い嫉妬の念を覚えつつ、遠巻きに眺めているだけだった。  聡志も、自分から近付くような愚を犯しはしない。休み時間でさえ、シャープペンシルを回しながら、テキストを読むことが、何ら苦ではなかった。逆に、下手に友達付き合いする方が、聡志を苦しめる。  自宅で友人の話をすれば必ず、その友人の成績を確認される。友人の方が成績が上なら、 「ヘラヘラしてないで、勉強して追い抜きなさい。アンタ悔しくないの?」 と、言われて面倒だし、友人の方が劣っていれば、 「そんなのと付き合うても、何のプラスにもならんやろ……。馬鹿が伝染るよ」 と、友人に対して実に申し訳ない気持ちにさせられる。  聡志にとって両親は、親と言うよりは、スポンサーだった。両親の意にそぐわないことは、禁じられていたのだった。聡志も、スポンサーが喜びそうな話題だけを選んで、彼らには聞かせた。  恋をしても、友達と殴り合っても、二年生ながらに試合でベンチ入り出来ても、そんな無駄な話を、両親には絶対に聞かせなかった。そして、自分の意志で行動することを、聡志は諦めかけていた。  最も基本的で、最も重要なはずの、親子の信頼関係や人間関係が、この家庭では崩壊しかけていた。  
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