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「寝たいんならよりかかりな」
「むー……」
アゲハはコテンと僕の腕によりかかるとすぐにすうすうと寝息をたてはじめた。
相当疲れてたみたいだ。
「……あっと」
危ない危ない。
忘れるところだった。
僕はポケットから携帯を取り出す。
アンテナ一本。
うーん、微妙かな。
「……メールでいいか」
通話だと話し声でアゲハが起きるかもしれないし。
僕はバス停に居ることを父さんにメールして携帯をしまうと、横で寝ているアゲハに目をやる。
「……」
天使のような寝顔、というやつだね。
そっと、アゲハの頭を撫でる。
僕は、アゲハのことが、真実、愛しいと思う。
……そう、僕は―――
母さんが残したこの子が愛しくて―――
―――母さんを殺したこの子が憎らしい。
「―――か……はっ…………おにい……ちゃん…………」
気が付いたら、僕はアゲハの首をぎりぎりと絞めていた。
「……あっ」
慌ててアゲハの首から手を離す。
「かはっ……はあっ……けほけほっ……」
僕は……何を……。
「アゲ……ハ……」
手を、伸ばす。
「ひっ……いや……」
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