3歳頂上決戦

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東京優駿が終わると例年の3歳戦は一段落つくはずなのだが、今年はそうでなかった。 東京優駿の3日後にエルコンドルパサー陣営が、その翌日にはグラスワンダー陣営が会見を開いた。 エルコンドルパサー陣営の発表はファンを興奮させた。 「秋の目標はジャパンカップ。その前に2つ使います。」 「2つというのは菊花賞とトライアルですか?」 「いえ、毎日王冠と天皇賞です。」 それは古馬達への宣戦布告だった。そしてグラスワンダー陣営の発表もファンを興奮させた。 「秋の目標は有馬記念。その前に4つ使います。」 「4つというのは?」 「毎日王冠、天皇賞、ジャパンカップ。それと…」 「…?」 「宝塚記念です。」 前日のエルコンドルパサー陣営に真似て発表されたこのローテーションは、エルコンドルパサー陣営よりも強烈な印象を残した。 グラスワンダーの3冠ロードはここで幕がおりたが、3冠ロード以上に厳しいローテーションを陣営は選択した。 ファン達はエルコンドルパサーも宝塚記念に出走してほしいと強く願ったが、これに対しエルコンドルパサー陣営は、疲労が著しいという理由で宝塚記念を正式に回避することを表明した。 セイウンスカイや他の国内産馬は例年通り目標を菊花賞として休養に入り、宝塚記念へ出走する馬は表れなかった。 宣戦布告された古馬勢が黙っているはずはなく、今年無敗のサイレンススズカ、メジロブライト。グランプリ連覇を狙うシルクジャスティス。さらには女帝エアグルーヴとその女帝の座を狙うメジロドーベルなどが出走登録していた。 このようにグラスワンダーに立ちはだかる壁はとても大きかったが、それでもグラスワンダーは勝ち負けになるとファンは読んだ。 そして全14頭となった春のグランプリ、宝塚記念が始まる…
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