たまご

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彼女は黒いニット帽をかぶると、大きなバッグを持って部屋から出ていった。 することのないぼくはトイレに立った。用を足し、鏡を見ると、あのころより髪や髭が無作法に伸びたぼくがいた。何となく顔色のわるいぼくが、いた。 小窓を開けると、知らない土地の風がぼくの頬を撫でる。 とても気持ちがわるい。
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