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「おねえちゃん、わたし、つよくなれる?」
「うん、なれるよ」
そう言ってわたしは、小さなねねを抱きしめた。こんなにも、ねねは小さかった。
小さくて、弱くて、できれば、このまま連れ去ってしまいたかった。どこか、絶対不可侵の場所へ。
でも、そんなところはいくら考えたって思いつかないから、わたしはねねをこうやって、一瞬だけ自分の胸のなかへおさめることしか出来なかった。
「おねえちゃん、わたし」
「なれるよ」
ねねはわたしの胸から離れた。わたしの胸は涙や鼻水で見事によごれている。
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