たまご

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「387日」 「あたしと、テッちゃんがカラオケボックスで寝るようになってから、今日まで」 彼女はなにかを回想するように、語る。 「数えてたんだ」 「はじめは、一週間ぐらいかと思ってた。あたしもテッちゃんも逃げたかったし、カラオケで寝泊まりなんかしたら楽しいだろうね、って」 「実際は酔っ払いの声がうるさくて、ぼくは慣れるまでに苦労したけどね」 「あたしはすぐに眠れたわ」 彼女はしゃべりながら、少し笑った。相変わらず、ライターを持つ手は休まらなかったが。
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