美少年

3/13
前へ
/59ページ
次へ
駅まで送ってもらい、私はお礼を言った。 「ありがとう!ホント、助かった」 「困ってるみたいだったから、ほっとけなくて…。それじゃ」 美少年がお辞儀して帰ろうとするのを、私は慌てて引き留める。 「あっ、ちょっと待って!」 「はい?」 「あのね、今度お礼したいから…ケー番、聞いていい?」 「えっ、いいですよ、お礼なんて…」 「いいからいいから!」 私は半ば強引に、相手のアドレスを聞きだした。 春樹くん…か。 家の前に人影が見える。 人影は私に気付くと、こっちに向かってきた。 「遅かったな」 「涼!何してんの、こんな時間に?」 「…ちょっと通り掛かったんだよ。そしたらお前帰ってないから…」 「あっ、心配してくれた?ごめんごめん、ちょっといろいろあって…」 「いろいろ?」 「うん。あっ、そう!拓也さんが最低な人でね…」 「話は明日聞くよ。じゃあな」 「えっ?寄ってけばいいのに」 「もう遅いからな。あんまり心配させんなよ」 それだけ言うと、涼は帰って行った。 話聞いて欲しかったけど…まぁいっか。 明日話そ。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加