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「涼!涼!聞いて!私、彼氏できた!」
「あぁ!?」
幼なじみの涼が、怪訝な顔で振り返った。
「彼氏って…桃、お前一週間前まで彼氏いたよな?」
「あの先輩の事?あいつとは別れたわよ」
私は涼の隣の席に座って、勝手に喋りだした。
「だってあいつ、どんな奴だったか知ってる?マザコンよ、マザコン!それも重度の。家に着く前まではキリッとしてた顔が、母親に会った途端ぐにゃり。ママぁ、とか言っちゃって。挙げ句の果てに、私の事ただの後輩呼ばわり!ちょっと顔がいいからって、失礼しちゃう!」
私が一気に愚痴を言うと、涼は冷たい言葉を返した。
「桃ってホント学習能力ないよな。顔だけで選ぶの、そろそろやめろよ。それで一体何人のバカ男に引っかかったんだっつの」
「うっ…。だって、仕方ないじゃない。みんなカッコイイんだもん!それに中身なんて、付き合ってみなきゃわかんないしさ…最初はみんないい人だし、普通の人なんだよ?」
「普通の人がマザコンだったり、極度のアニヲタだったり、月に一回ぶっ倒れるような奴なのかよ」
涼の言葉に少し怯む。
涼の言う通り…私が今まで恋した男は、みんな普通じゃなかった。
マザコン、アニヲタ、貧血男…他にも、他人には言えないようなおかしな人ばかり。
でも…元はと言えば、私の性格が問題なんだよね。
惚れやすい上に一目惚ればかり。
見た目で相手を選んだりするから…
だからこうしていつも後悔して、その度に涼の説教を聞かされる。
自分でも直さなきゃとは思うけど…
やっぱりカッコイイ人には目が行くんだもん。
当然の事じゃない。
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