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学校が終わって校門を出ると、高校にはふさわしくないベンツが一台。
その運転席から顔を出したのは…
「拓也さん!」
「桃ちゃん、学校お疲れ様。会議早めに終わったんだけど…ちょっとデートでもどう?」
「えっ、ホントですか!?行きます!」
拓也さんは忙しいから、滅多に会えないって諦めてたのに…
私がウキウキしながら車に乗り込むと、その横を涼が通った。
「あっ、涼!」
私は車の窓を開け、涼を呼んだ。
「拓也さん、幼なじみの涼です。涼、今朝話した拓也さんだよ」
涼は軽く腰をまげ、車の中を覗いた。
「…ども」
「こんにちわ、涼くん。君の幼なじみ、ちょっと借りるよ」
拓也さんがにっこり笑って言うのを、涼は一礼で返した。
「じゃ、失礼します」
「あっ、ちょっと涼…!」
すたすたと帰って行く涼に、私は不満を漏らす。
「もう、なんで涼ってあんなに無関心なんだろ」
「なかなかカッコイイ幼なじみだね」
拓也さんの声に、はっとして我に返った。
「カッコイイなんて…拓也さんに比べたら全然ですよ」
拓也さんは微笑みながら、車を動かした。
ほらね、涼。
見なさいよ。
拓也さんは…今度こそ、まともな人なんだから。
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