青年実業家

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「拓也さん!こんばんわ」 「こんばんわ。ごめんね、今日もこんな時間になって」 「全然構いませんよ。忙しいですもんね」 私は拓也さんの車の助手席に乗った。 時間は7時。 これから夕飯を食べに行って、夜景を見にドライブして… いつも通りのデートだろうな。 私はそう思ってわくわくしていた。 いつも私の知らない、綺麗な夜景の所に連れてってくれる。 拓也さん、ホント大人だよなぁ… 素敵すぎる! 夕飯をイタリアンレストランで済ませ、再び車に乗った。 「今日はどこの夜景に連れてってくれるんですか?」 私が聞くと、拓也さんはにっこり笑って言った。 「それは着いてからのお楽しみだよ」 そして車が走り出した。 いつもなら人気の少ない、山の方に向かうのに… 今日はなぜか、街の中へ向かって行った。 「あの…拓也さん、どこへ?」 「もう着くよ」 車を停めた拓也さんに降りるよう指示され、私はネオンが煌めく街の中に立った。 「えっ?」 私は戸惑った。 だってここ…ホテル街じゃない… 「あの…拓也さん、私…」 「桃ちゃん…そろそろいいでしょ?」 肩を抱かれ、私は身をこわばらせた。 でも…こんなにマトモでいい人、もう二度と会えないかもしれない… この人なら… 私は覚悟を決めた。
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