青年実業家

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私達がある一つのホテルの前に立った、その時だった。 「拓也!!」 キンキンと耳に響く高い声。 私達は振り返った。 そこには、髪の長いギャルっぽい女の人。 「拓也…って…」 私はそっと拓也さんを見上げた。 拓也さんの顔は、青ざめている。 私は一瞬で全てを悟った。 女の人はツカツカとこっちに歩いてきて、私を睨んだ。 「あ…彼女さん…ですか?」 私は一応確認の為聞いた。 二股か…また最低な男だったな… しかし、女の人の口から更に驚く事実。 「彼女じゃない、妻よ!!」 「えっ!?」 さすがの私も、思いっきり拓也さんを見た。 拓也さんは冷や汗を流しながら、焦って言った。 「や…その…つまりさ…桃ちゃん、ごめん!俺結婚してるんだ!!」 拓也さんが私に頭をさげてきた。 それどころか… 「その…それから、子供も二人いて…」 「はぁっ!?」 私は呆れて何も言えなくなった。 結婚してたどころか…子持ち!? 「信じられない…」 プチンッと何かが切れた気がした。 次の瞬間。 パッシーン! 「ふざけんな、バカ!!」 思いっきり拓也さんの頬を殴ると、私は怒りに任せてホテル街を出た。 後ろから、さっきのキンキンしたギャルの怒る声が聞こえる。 あぁ…また変な男だった…
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