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僕は水の中を漂っている。いや水というよりお湯に近いぬるま湯だ。水の色は南の島のオーシャンブルーには程遠い深い青。なのに妙に澄んでいる。深い青はどこまでも続いている。プールのように狭いものではなく、海のようにどこまでも広いようだ。ここには底もない。とにかく僕はこのディープブルーの中に一人漂っている。不思議と不安はない。反対にずっとこのままここに居たいような気持ち。脈は規則正しく打っている。「ドクン、ドクン」その一定のリズムだけが聴こえるだけで、他に音はない。とても静かで穏やかな気分。「ここはどこなんだ?」「いやそんな事はどうでもいい。」僕はただここに居たいだけ・・・遠くからなにやら雑音が聴こえてきた。鈴にも似た音でとてもうるさい。その音はどんどん僕に迫ってくる。「くるな!」僕はそう叫ぼうとした。しかし声にならない。その鈴のような音が僕の頭に直接響いている。「やめてくれ!!」
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