♪なんでもない日常♪

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私は思った。 このおばちゃんの笑顔はかわいいなと。 小さな口がさらに小さくなって、優しい笑顔で笑う。 誰も声をかけない、話したがらないこのおばちゃんと関わりたくてしかたなかった。 それから毎日、おばちゃんが通るたびに 「おばちゃんおはよう」 と声をかけて、 世間話(といっても一言二言だが)をしては、 そのおばちゃんの帰り道が果たして大丈夫かなあ?とか思っている自分がいた。 そんなある日、 現場内に停めていた私の車を移動してくれということになり、隣の工区の駐車場まで車を持っていった時のこと。 すぐそばの踏切では警報音が鳴っていた。 車を降りて、持ち場に戻ろうとして、ふと踏切を見た。 遮断機が降りている踏切の中に、そのおばちゃんがいた。 無線では列車が近づいていることを知らせている。
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