夢に出てくる光の扉。その扉の先には…

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中には、古びた布の袋があり、その中に3枚の手紙と、ハーモニカが入っていた。手紙を読んでみた。 「今日、昭和40年7月15日、愛するあなたとの思い出をここに埋めます。いつの日か誰かが掘り返してあなたに届けてくれることを信じて」覚えている文章はこれだけです。どうやら、親同士の会社のもつれで結婚できなく、別れさせられたそうです。 ただ僕の夢にでてきたこと。僕らが掘り起こしたこと。僕はそのメッセージを伝える義務があると思い、親と学校の先生に相談してみた。すぐに、先生や親たちがその人を探そうということになり、みんなで探すことにした。 探し初めてから一週間が経過したころ、学校に電話が入った。たぶんそれは自分の父だという電話だった。ただ、残念なことに、5年前にお亡くなりになっていた。名前、その時の話、すんでいた場所からしてその人に間違いなかった。でも、息子さんにお父さんが手紙を書いていた。そこには相手の名前と、当時その人の親が経営していた会社名が書いてあった。僕らはそれを手がかりに、女性を探すことにした。でも、なかなかみつからなかった。半年くらいしたころ、僕は授業中に校長先生から校長室に呼び出された。わけのわからないまま校長室に行くと、そこには、少し身なりのきれいなお婆さんとその娘さんがいた。名前を聞いて僕らはビックリした。あの女性だった。自然と僕はそのお婆さんに抱きついて泣いてしまった。お婆さんは「ありがとう」といいながら泣いていた。 僕は、手紙とハーモニカを渡した。そのハーモニカはその男性がデートのたんびに河原で吹いてくれたハーモニカだったそうで、お婆さんはそのハーモニカを抱き締めて涙を流していた。
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