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夜、僕は友達のショウに電話して、「話がある。」と彼を家の近くの公園に呼び出した。僕はある決意をしていた。
公園に着いたが、まだショウの姿はない。僕は誰も居ない東屋に座り、彼を待った。空にはまばらに星が散らばっている。そんな空を見上げ、溜め息を一つした。
その時、ショウがやって来た。公園の入り口で自転車を降り、ゆっくりとこっちに向かってくる。
「おー。久しぶり。なにしたの?」
ショウとは中学の同窓生だった。クラスは違ったが、部活が一緒で毎日のように遊んでいた。高校に入ってからは違う高校という事もあり、会う機会がめっきり減った。今日会うのも、もう一ヶ月ぶりである。
ショウは椅子に座ると、ポケットからタバコを取り出して、吸い始めた。その格好は僕と違って、似合っていた。ショウは体もでかいし、うっすらヒゲを生やしている。背広を着たら、立派な成人男性だろう。
「だから、なにしたの?」
黙っている僕にショウはもう一度聞いてきた。
「いや、ちょっとさ。お前最近どうなの?」
「俺?元気だよ。てかさ、まじちょーかわいい子発見したの。駅前にクレープ屋あるじゃん?そこの店員なんだけど、まじやばい。」
「そっか。」僕は熱くお姉さんを語るショウが羨ましかった。僕には恋愛する余裕などない。いやこんな僕じゃ恋愛など、しちゃいけないだろう。
僕は暗い気持ちになって、下を向いた。
「てかまじなにしたの?反応薄くない?」
「いやちょっと・・・」
「ちょっとじゃなくてさ。なんかあるなら言ってみろさ。」
僕はどうしようか迷った。なんて言われるか反応が恐かった。でもショウを信じて言う事にした。
「あのさ、俺学校行けないんだよね。」
初めて友達にその言葉を言った。今まで言いたくても、恐くて言えない言葉だった。そして僕は今の状況を伝えた。
「教室に入ると、具合悪くなるんだ。なんか知らないけど、ドキドキしてきて、手足も痺れる。」
「まじで?いつから?」
「もう二ヶ月ぐらいなる。」
ショウは突然の告白に驚いたようだった。僕はこの後のショウの反応が恐かった。こいつはどんな反応をするのだろう。軽蔑するかもしれない。
僕はショウの顔をジッと見た。ショウがゆっくりと話し出す。
「そっか。全然知らなかったよ。気付いてやれなくてごめんな。でもさ、なんで今まで言わねぇんだよ。」
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