二十二歳

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雅人は相当酔ってきている。段々ろれつも回らなくなってきている。そんな雅人が僕に問い掛けた。 「てかお前はなにがしたの?」 「なにって?」 「いやいつまでバカやってるのかってこと。俺ら、もう二十二だよ。」 僕は舌打ちして答えた。 「ちぇ。てめえ喧嘩売ってんの?」 「あん?だって見通しないんでしょ?」  今の一言で完全にキレた。 「てめぇ、ちょっと表出ろ。」  酔いも回っているせいか、雅人も僕の喧嘩を買ってきた。圭吾に店の支払いを任せ、僕と雅人は近くの公園に行った。外灯が一つあるだけで、辺りは暗かった。『ドン!』僕は雅人の左頬をグーで殴った。『ドン!』雅人もやり返してくる。二人とも足元はおぼつかなかったけど、力一杯殴り合った。何発殴り合っただろう。お互い鼻血を出している。圭吾もすぐ公園に掛けつけたけど、止めようとはしない。 「なんでそんな簡単に変われるんだよ!」  僕はそう言いながらまた殴った。 「うるせぇ。でもなこれが俺の幸せなんだよ!」  雅人もそう言いながら殴ってくる。それから僕と雅人は次のことを言いながら、殴り合った。 「ほんとはお前がうらやましいんだよ!」 「俺はお前がうらやましいよ!」  そして僕と雅人はその場に倒れこんだ。顔面が相当痛い。絶対に腫れている。
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