二十二歳

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「お前は俺ら、どっちが正しいと思う?」  雅人は圭吾に問い掛けた。圭吾はしばらく黙っていたが、いつものおっとりした口調で答えた。 「うーん。どっちも正しいんじゃん。だって幸せに形ないもん。」 「・・・」 「・・・」  僕と雅人は一瞬間を置いて、笑い始めた。圭吾の言う通りなのだ。幸せは押しつけるもんでもない。僕には僕の幸せ、雅人には雅人の幸せがあるのだ。じゃあなんの為、僕らは殴り合ったのだろう。まあそんなことはどうでもいい。笑いながら雅人が話した。 「大正解。お前の言う通りだよ。なあ?」 「ああ。なんでなんもしてないお前が勝つわけ?」  圭吾は「えへへ」と照れくさそうに笑った。 「星きれいだな。」  雅人の一言で僕も空を見た。冬は星がきれいに見えるって言うけど、本当にきれいな星空が広がっていた。しばらく黙って見つめて、僕がぼそっと言った。 「俺らってちっちぇな。」
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