二十二歳

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 年が明けた。また新しい一年が始まった。今日僕と裕美は六日も遅く初詣に来ている。年末年始は僕がバイトで忙しく、来れなかったのだ。もう去年になるが、クリスマスは六軒ぐらい店を回って、かなり悩んだ挙句、七千八百円のネックレスを買ってあげた。もちろんノーブランドだけど、裕美は素直に喜んでくれた。僕もそんな彼女を見て、素直にうれしかった。あ、昨日雅人の子供が無事生まれたらしい。元気な女の子。子煩悩な雅人の姿が簡単に想像出来る。僕は僕の、奴らは奴らの生活が今日も送られているのだ。この先どうなるかなんてわからないけど、僕なりに僕の幸せを見つけたいと思う。僕と裕美は境内にお参りした。 「なにお祈りしたの?」  女はすぐ聞いてくる。 「夢が叶いますようにと、みんなが幸せになるようにってお願いした。」 「それだけ?」 「あとはたぶんお前がお祈りしたのと同じだと思う。」 「なになに?言って!」 「うるせぇ。」                                 おわり
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