君の瞳に

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君の瞳に

 俺らの学校の美術室には、一枚の絵が展示されている。  木陰で読書する長い髪の少女。  とても繊細なタッチで、春の陽だまりが暖かく写し取られた水彩画。  ところが午前0時になると、その絵画の中の少女が血の涙を流しながら啜り泣くという。 ――それがここ、桜ケ丘第三中学校に最近加わった七不思議だ。    新しく増えたんだから八不思議でいいだろうと思うんだが、語呂が悪くてダメらしい。  その代わりに、敢えなく七不思議から脱落したのは――えーっと、何だっけ? 放課後の校庭を全力疾走する校長のヅラだっけな? 何、気にする事はない。  そんな噂が俺の耳に届いたのは、秋も深まり十一月の学園祭に向けて皆、一様に浮かれ出した頃だった。
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