人を見かけで判断してはいけません。

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人が行き交う廊下。 教室の入口で話し込む人々は ある少女をみるなり 突然 顔色を華やかに変える。 「あっ!亜芽さんおはよう!」 「おはようございます」 「おはよう亜芽ちゃん」 「おはようございます」 やんわり和んだような空気。 亜芽が笑顔であいさつを返す。 すると、受けた者はその倍以上の笑顔をみせる。 「やっぱ亜芽ちゃん綺麗だよ」 「毎日見てても飽きないって言うか、癒しに近いよ~」 「…癒し、ですか? そんな事ありませんよ! 私なんか…」 そういって頬をほんのり紅潮させ、両手をふる。 「かーわーいぃいー―」 「しっ、失礼しますね」 焦って廊下を小走りに進み、トイレの個室に入った。 バタン。 ガチャ… 「……―――」 個室の壁に、トン ともたれる。 浅く息をついて鞄をあさり、携帯を取り出す。 そう、 ここまでが表の顔。
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