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「…おぉい、金城」
その日ふと廊下を歩いてぃると、いきなり呼び止められた。
「……?
なんですか先生?」
一瞬険悪な顔をするが、振り返った途端に表情を変える。
ふわりとした笑顔。
「おぉ、あのな。
ちょっと頼みがあって」
「はい、よろしいですよ」
バサッ…
「コレ、時塔に渡してくれるか…?」
「…と…き…とう?」
…誰かしら…。
さりげなく書類に目を落とす。
『時塔 銀』
あぁ、アノ時塔か。
亜芽はわからない程度に目を細めた。
「わかりました❤
見つけ次第渡しておきますね」
「頼んだぞ金城」
亜芽の肩を軽く叩く。
「…………」
「…金城」
「!」
男教師は亜芽の肩を自分の方へ引き寄せ、耳元で話す。
「…放課後、視聴覚室に来いな。話ある」
「……わかりました」
伏し目がちに返事をする。笑顔は…ない。
男教師は満足げに帰っていく。
つまらない。
あの男教師は
落ちないかと
思っていたのに
亜芽は男の後ろ姿に、冷たい視線を向ける。
「あ、亜芽ちゃん!」
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