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何もかもが白い。
ピッピッピッピッピッピ。 電子音が鳴り響く。
緑色をした波形がモニタに映っている。
心拍数、脈拍が小刻みに緑の山谷をつくる。
・・・あれは何年前だろう。
子供の頃、買ったばかりの自転車。
ふらついた自転車に乗った子供がトラックに跳ねられた。
道沿いの花壇がクッションとなり、その子は運良く助かった。
でも、その子は植物人間として人生を過ごしている。
ピッピッピッピッピッピ。
電子音が鳴り響く。
ふと、その空間に別の音が紛れ込む。
白い服を着た女性が部屋に入ってきたためだ。
『今日は良い天気ですね。カーテンを開ッておきますよ。』
白い光が流れ込む。 その光は年老いた1体の体を照らし出した。
老人はその光にも動じず、ただ一点を見詰めている。
ただ白い天井を見つめている。
いつもと同じ風景、同じスタイル・・・。
その老人はいつも同じ生活を演じなければならい。
終わり
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