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「のぞみさん、とってもお上手じゃないですか!すごいです!」
星野が角で拍手をした。あたしは、にやりと笑った。
「ねぇ、星野。あたし、分かったよ。あんたが光れなくなった理由」
「ええ!?」
星野は目を丸くした。
「あたし、今まで人の前でリコーダー吹けなかったんだ。何でだと思う?」
星野は分からない、という顔をした。あたしは続ける。
「みんなに、上手だと思ってもらいたかったからだよ」
そうだ。きっとそうなんだ。上手だと思ってもらいたい、みんなに振り向いてもらいたかったから、やる気が空回りしてたんだ。
「でも星野の前では、上手に吹けた。上手に吹こうって、思わなかったからね」
星野は、まだ分からないような顔をしている。
「星野、あんたもあたしと同じなんだよ」
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