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「のぞみさん!」
星野の声は、震えていた。
「光れました!ぼく、光れましたよ!」
「う……うん……」
言葉が、しょっぱかった。涙で、星野の光がにじむ。
星野は光り始めると、からだもだんだん、宙に浮き始めた。
「ぼく、空に帰れるんですね」
星野が少し、寂しそうに言う。
ああ、そうか……。お別れか。
「早く空に戻んな」
あたしは涙を拭った。
「あんたを待ってる人、きっと他にもいっぱいいるから」
「はい……」
星野は笑った。
「ありがとう」
お伽話だったら、ここで星野は王子さまに変身して、星空のなか、私と一緒にダンスの1つでも踊るんだろう。
けれど星野は窓から飛んでいき、空に昇り、そして、それきりだった。
あたしは窓に手を掛け、空を見上げた。星野はもう、「そこ」にいる。いるべき場所にいる。
『ドドソソララソー、
ファファミミレレ
ドー……』
星野、あんたに会えて良かったよ。あたしも、頑張るからね。
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