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『ドドソソララソー、
ファファミミレレ……
プピィィィィィ!!』
「うっわぁ、嫌な音」
隣でみとちゃんが言う。学校からの帰り道、あたしはみとちゃんにリコーダーの練習の成果を見てもらっていた。明日、音楽の時間にテストがあるからだ。
リコーダーなんて、嫌い。うそ。本当は好き。だけど、人前で吹くのはものすごく嫌い。胸の辺りがドキドキして、手なんか自分の物じゃないみたいによそよそしく動く。
あたしは、音楽の羽田先生を恨んだ。なんで、みんなの前でテストするの?一対一でやれば良いじゃん。まあ……それも緊張するんだけどね。
「のんちゃん、前よりは上手くなったよ」
みとちゃんが笑う。
「ちゃんと、ABCの歌だって、分かるようになったもん!」
すみません、これ「きらきらぼし」なんですけど……とは言えず、あたしは黙ってうつむいた。
「じゃあ、明日までに頑張ってね!」
「うん」
「バイバイ!」
「バイバイ……」
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